TikTokの収益モデルについて考える

社長ブログ

たまには自分の仕事と全然関係ない話を書こうと思うのですが、みなさんはTikTokってご存知でしょうか。
すごいですよね、TikTok。

TikTokのByteDanceが世界最大のスタートアップに――Uberを抜く会社評価額で資金調達完了

「750億ドルの会社評価額で30億ドルの資金調達を完了した」そうで、「配車サービスの巨人、Uberの直近の会社評価額720億ドル」を上回ったのだそうです。
すごくないですか。
750億ドルって、8兆円ですよ。
8兆円といえば、日本の時価総額ランキング第5位の三菱UFJフィナンシャル・グループより少し小さく、ソニーやキーエンスよりも少し大きいくらいのサイズ感です。
設立は2012年3月とのことなので、7年足らずで、です。
盛田昭夫もビックリではないでしょうか。

私も気になってアプリをインストールしてみました。
なんですかね。
アプリを、開くじゃないですか。
そうするととにかくもうすぐに動画が始まります。
広告などでご覧になったことありますか。
大体若い人です。高校生か大学生くらいの年代の若い普通の人が、音楽に合わせて口パクしながら踊ってるんです。
ただ、それだけです。
本当にそれだけなんですが、気づいたら2時間経ってました。
非常に不思議なんですが、強いて言えば、とにかくストレスがまったくないんですね。
ちょっと早送りみたいになっているのがいいのか、とにかくテンポがいい。ついつい眺めてしまいます。
ちなみに私は怖くなって、アプリはその日のうちにアンインストールしました。

そんなTikTokですが、NEWS PICKSにもちょろっと書いたように、実は収益化の方法もまだあんまり固まってなくて、結構手探りなようです。
若年層をターゲットにしたEC広告をやってみようかなーみたいな。
そんな段階でも8兆円。
ユーザーの熱狂を見るにつけ、それだけの評価に足るサービスだとは思いますが、経済って何なのという気もしますよね。

ということで今日は、TikTokが今後どういったモデルで収益化を果たすのかというあたりを考えていきたいと思っています。
そんな他社のことよりまず自分とこの心配をした方がいいのではないのというご意見は重々承知なのですが、息抜きだと思って勘弁してください。

広告モデル

収益化に向けて、たぶん一番の候補は広告でしょう。

GoogleやFacebookも言わずもがな広告ビジネスをメインの収益源にしていますし、Amazonも広告ビジネスをかなり伸ばしてきています。
そもそも広告ビジネスはメディアビジネスとの相性がいいので、TikTokのマネタイズに関しても広告ビジネスがファーストチョイスになることは極めて自然です。

とはいえ、と思うわけです。

上であげた3社もどちらかというとメディア自体というよりは配信テクノロジーの方に事業的には強みがあるわけで、メディアがうまくいけば広告もうまくいくというほど世の中甘くないんじゃないのという件もさることながら、ここだけの話、そもそもTikTokってただ眺めている限りにおいてのストレスのなさこそは素晴らしいものの、内容自体大して面白くもなければ、ましてや何のタメにもならないんですよね。

例えば、あの大して面白くない動画と大して面白くない動画の間に大して興味もない広告がいちいち流れたら、人は秒速で離脱すると思うわけです。

ちょっと難しいんじゃないでしょうか。

インフルエンサー

私はツイッターもやっているのですが、ツイッターもこれがまたすごいです。
何がすごいかというと、個性的な手段でページビューを稼いでアドセンスとアフィリエイトによるマネタイズに成功した先達に憧れるワナビーが、ドルマークみたいな目をしながら、口々にどこかで聞いたような名言風の何かと、副業で儲けるための心構えを説いて回っています。
数多いる先達の中でも特に有料の道場のようなものを主催して後進の育成に余念のない方々を指してインフルエンサーと呼ぶようですが、インフルエンサーとワナビーのコミュニケーションはしばしば貨幣の移動を伴うので、そこにビジネスチャンスを見出すという方向性はあるかもしれません。

先にあげたツイッター社が特にそういったビジネスモデルの構築に成功している事実はありませんが、これからコミュニティーとビジネスをつくっていくTikTokにチャンスがあることは明白でしょう。
社長さんが女優の石原さとみさんとお付き合いされていることで有名なSHOWROOMも「投げ銭」という斬新なシステムでアイドルの卵と観客の間のコミュニケーションをエンハンスし、賢くマネタイズしていらっしゃいます。

とはいえ、です。

言葉を選ぶ必要がありますが、TikTokerのみなさんて、別に何かの卵ですらない本当にただの素人なんですよね。
わかるんですよ。
ちょっと楽しく踊って、自分を表現して、みんなとワイワイ仲良くしたいですよね。
よくわかるんですが、じゃあそこにスポンサーが付くのかというとちょっと難しいんじゃないでしょうかと思いますよね。

新しいビジネスモデル

そのように考えて少し思うのは、TikTokはむしろ観客というよりは演者の方からお金を取る方法を考えた方が筋がいいのではないかなということです。
すべてが相対化されるポストモダンな現代社会において、自分という人間を社会に対していかに表現していくかということこそが今の若い人たちに共通の課題なのであって、TikTokはそうした課題に対するひとつの解決策となりつつあります。
とすると、便益を得ているのは観客というよりはステージに立っている演者の側ではないかと、こう思うわけです。

その昔、ゲームのプレイヤー同士をチーム化して、チーム内でチヤホヤされたいという気持ちが特に強い人に対して魅惑のチートアイテムを販売することで巨億の財を成した、欲望みたいな名前の企業がありました。
同社は結局、チヤホヤする側であるところのライトユーザーには一切金を回さず独り占めしたことから深刻なライトユーザー離れに見舞われ失速していきましたが、このモデル自体にはまだ発展の可能性があると見ています。

要は承認欲求の強い演者から場所代やアイテム代を徴収しつつ、それを観客たるところの一般ユーザーに還元すればいい。
これはずばり、「『逆』投げ銭」のようなシステムではないでしょうか。

観客を集めたい演者がルームをつくり、踊りながら金を撒くわけです。

すごいですね。

行き所のない承認欲求と小金を持て余したオジサンと、サクラのバイトをしているネカマのオジサンばっかりになりそうです。

なかなかどうでもいい話でした。

著者情報

曽良 俊介

カツラです。社長とCEO。 twitterもフォローお願いします。 https://twitter.com/shunsukekatsura

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