中小企業のデジタル化はいかにして進展するか

社長ブログ

おはようございます。
ユニフィニティー代表の曽良です。

うわっ…日本の労働生産性低すぎ…?ということで最近ちょくちょく話題になっています。

どのくらい低いかというと、主要先進7か国で比べるとなんと47年連続の最下位、OECD加盟36か国で見ても下から数えた方が早く、ライバルはスロベニアとかニュージーランドということです。日本は総生産でいうと中国に抜かれたとはいえ世界3位の経済大国ですが、国民ひとりあたりの生産性についてみるとそのような状況になってしまう。つまり我が国は、「ひとりあたりは弱く貧しいものの、とりあえず頭数が多いからトータルの経済規模は大きい国」ということです。悲しい話ですね。

で、さらに悪いことには、これから日本の人口は減っていきます。実は唯一の強みであった人口の多さを失った我が国が、取り立てて特徴のないその辺の国になることはもはや目に見えています。それは困るぞということで、日本企業の99.7%を占める中小企業の生産性を底上げすべくデジタル化を推進しようという動きになっているということのようです。

経済産業省も、根拠のほどはよくわかりませんが、とにかく2025年に崖があるぞと、このままデジタル化に踏み切らないと崖から落ちるぞという、不安を煽るタイプのレポートを出すなどして本邦中小企業をデジタル化投資に踏み切らせようとしています。

DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

当社といたしましても、社会的責任を担う良き企業市民としてこうした問題には積極的に取り組んでまいりたい所存ですが、平素中小企業の方などともいろいろと意見交換をさせていただく折、それなりに課題も多いなあと思っておるところでございます。

中小企業の分類

まず、一口に中小企業と言いますが、その存在意義にはいくつかのパターンがあるように思っています。具体的には3つあります。

ひとつは「イノベーション」です。ベンチャーとかスタートアップと呼ばれる企業がこれにあたります。有名な「イノベーションのジレンマ」の存在により、既存の大企業は破壊的なイノベーションを起こすことができませんから、社会の非連続的な発展のためには、社会はベンチャーやスタートアップとしての中小企業を包摂する必要があります。かくいう当社自体もこの分類ですし、最近結構増えていると思います。ただこのカテゴリーは、あまりデジタル化が遅れているというような事実はないと思います。

それから「部分最適」です。具体的には例えば製造業の下請けなどがこれにあたります。「この部品はこの部品で製造を最適化したい」というケースが製造業ではしょっちゅうありますよね。大企業の製造部門が独立して中小企業化し、他社の下請けなどもこなしながら、個別の部品に最適化していくという景色はよくみられるものです。このカテゴリーもそこまでデジタル化は遅れていません。日本の製造業の生産性はもともと世界1位で、その後も他国に抜かれたりはしていますが、絶対値自体は改善してます。改善の文化が強いですし、自動化にも積極的です。

最後が「ローカルビジネス」ではないでしょうか。機械部品などの製品ではなく、ローカルに存在するニッチな需要にビジネスを最適化させているパターンです。地元の特産品を扱う土産物や、その地域ならではのレストラン、温泉旅館などです。なんでもそうじゃないのと思われるかもしれませんが、コンビニとイオン、チェーンのレストランを除くと大体そうです。デジタル化が一番遅れているのが、たぶんここです。その証拠に産業別でみたときにサービス業の生産性の低さは群を抜いています。なんと米国の半分です。

労働生産性の国際比較

ローカルビジネスとデジタル化

ローカルビジネスのデジタル化は、なぜ進展しないのでしょうか。

これはずはり、必要ないからですよね。

ローカルの需要は、あまり伸びません。最近は外国人観光客の急増で需要が伸びているケースもあるでしょうが、これは稀ですし受動的です。基本的な原理として、そもそもローカルな需要に適合するために存在しているビジネスなわけですから、自らの働きかけで需要を伸ばすということはかなり難しいです。

そうすると労働生産性を毎年向上させていくには毎年少しづつ人を減らしていくしかないということになりますが、これもかなり難しい。というのも、ローカルビジネスというのは地方における大変貴重な雇用の受け皿なので、雇用者数を減らすというのは基本的にご法度なのです。

そうです。デジタル化で、たとえ何かを効率化したとしても、お客さんが増えるわけでも、人を減らせるわけでもないのですから、デジタル化などするだけ無駄、ただの自己満足ですよねという話です。

これが、これまでローカルビジネスのデジタル化が進展しなかった理由だと思います。つまり我々が一億総中流を是とし、新陳代謝よりも低い失業率を歓迎するあまり、ローカルビジネスが縮小均衡に陥ったということです。

まずは体重計を買う

ただ、状況は変わってくると思います。当社株主でもあらせられる経営共創基盤のCEO冨山さんも著書内でおっしゃっていましたが、いま日本の地方では定年退職等によって労働力が深刻な不足に陥っており、このままでは多くのサービスが維持できなくなります。また、もし仮にこれを気合とサービス残業で乗り切ったとしても、もう数年たつと今度は死亡等によっていま起こっている労働力不足と同じ勢いで顧客が不足しはじめます。効率化と集約化をしなくては本当にみんな死んでしまうという話です。

ここにきて、ローカルビジネスに生産性を向上させる必要性が生まれてきました。

生産性を向上させることで他社より高い賃金を提示できますから、短期的にも労働力を確保することができます。さらには、これから起こるローカルビジネスの集約と統合に際して明暗を分かつものは、生産性などの指標によってはかられる経営力でしょう。

どうすれば生産性を向上させることができるかというと、これは地道な改善の連続でしかありえません。そして、地道な改善のベースは、問題を見える化することです。

ダイエットをしようと思ったときに家に体重計がなかったら、まずは体重計を買いますよね。中小企業のデジタル化って、要するにまずはそういうことだと思います。体重計を買うということです。

今週も頑張りましょう!

著者情報

曽良 俊介

カツラです。社長とCEO。 twitterもフォローお願いします。 https://twitter.com/shunsukekatsura

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