“図面だけで数千枚、エクセル転記も必要な進捗管理がさまざまな面で問題になっていました”
-どのような業務でUnifinityをご利用いただいているのでしょうか?
当社は再エネなどを含む各種プラントや都市インフラの建設や工事などEPC(Engineering、Procurement、Construction)全般を担う建設業者です。当社の事業を行う中で、Unifinityのアプリは、配管工事や電気工事の進捗管理、製造進捗や資機材の管理など、全部で4つから5つほど運用しています。中でもプラントの配管工事がどの程度進捗していたのかを記録するために配管工事の進捗管理アプリは、一番初めに導入して運用を開始したものです。こちらは3年ほど前の導入時から常時2現場程度で稼働しています。
-配管工事の進捗管理とはどのような業務でしょうか?
プラントの建設には数多くの配管が必要であり、その設置や溶接を実施していきます。もともとは現場監督が配管図面の工事が終わった箇所に印を付けて行く方法で管理を行っていました。しかし、大きなプラントになると図面だけで数千枚もあることに加え、進捗を把握するためには図面上のメモをエクセル等にいったん転記したうえで集計の作業を行わねばならず、このことがさまざまな問題の原因になっていました。
-当時発生していた問題について詳しく教えて下さい。
単純に図面を使っての確認や転記の作業は大変で、現場監督には大きな負担になっていました。また、正確な情報がリアルタイムに分からないので、どれだけの人工でどの程度の作業を完遂できるか把握するための歩掛の計算も雑になってしまい、必要な人の補充が適切なタイミングで行えないといった問題もありました。人の補充が遅れてしまうと状況によっては工期の遅れが発生してしまうことになり、そうなると建設工事に大きな影響を与えます。今になって思えば、図面での確認やエクセルへの転記など、膨大な作業がすべて現場監督に集中してしまっていたことが原因だったと思います。
-そうした課題に対処していこうということになったのは、どういった背景からだったのでしょうか?
DXを推進するための部門が立ち上がったことがきっかけでした。社内の各部門からメンバーが集まり、社内に存在するさまざまな課題の解決について議論しました。その中で配管工事に関しては、「工事進捗の”見える”化」という大きな課題があったこともあり、最初の取り組みとして選択しました。
“Unifinityでの開発に大きな苦労はなくマニュアルを読みながら、自力でアプリを作成できました”
-解決策として、どのような検討をされたのでしょうか?
当初は細かな工事の進捗を管理できるパッケージを探してみたのですが、なかなかしっくりくるものは見つかりませんでした。そのため、システム開発会社に委託して開発することを検討しましたが、数千万円の予算が必要そうということになり断念しました。その後、社内でいろいろと検討した結果、ノーコード・ローコードを使って自分たちで内製しようという結論になりました。
-ノーコード・ローコードのツールとしてUnifinityを選定された理由を教えて下さい。
第一にオフラインに対応したアプリをつくれるということです。プラントの建設現場はネットワークが弱かったりなかったりすることが多く、現場向けにアプリを提供する場合はオフラインでも使えるものである必要があると考えていました。また、社内ユーザーにはiPhoneが支給されていましたが、社外の協力会社などのユーザーにはAndroidハンディターミナルの貸与のみであったため、両方のOSに対応している必要もありました。他にも当社ではオンラインのストレージとしてBoxを利用しており、それと連携できるかどうかも重要なポイントでした。Unifinityはこれらのポイントをすべて満たしていたため、採用に至りました。
-Unifinityを用いた開発は順調でしたでしょうか?
Unifinityを使用する前にもPowerAppsなどのツールを試用していたこともあり、Unifinityでの開発にそこまで大きな苦労はなく、マニュアルを読みながら感覚を掴んで、ある程度自力でアプリ作成を進めることができました。Boxとの API連携の部分では、Webアプリケーション開発の経験が無かったこともあり若干難易度が高く感じましたが、ユニフィニティー社のサポートチームからサンプルアプリなどを提供してもらうことで無事完成させることができました。その後社内で教育を実施し、現在ではシステム開発未経験者を含む4名がUnifinityを使ってのアプリ開発ができるようになってきています。
“Unifinityは100点満点。導入後数年経過しますが、今も「Unifinityを導入して良かった」と思っています”
-アプリ導入の効果について教えて下さい。
現場監督の残業時間が1日当たり1時間程度減少しましたし、工事の進捗もリアルタイムに把握できるため工期の遅れもほぼなくなりました。アプリを導入したことで、PCやエクセルの操作に慣れていない現場の職人の方でもハンディターミナルから非常に簡単な操作で正確な進捗報告ができるようになったというのが非常に大きいと思います。とにかく使ってもらえないことには意味がないと思っていたので、現場の方に受け入れてもらえるよう、市販のアプリのUIを研究したり、現場からもらった要望には迅速に対応したりと、わかりやすいUIを実現する工夫を重ねました。
-現場の方からは例えばどういった要望があったのでしょうか?
ボタンやテキストのサイズなど細かなものはたくさんありますが、比較的大きなものとしては送信の履歴を確認したいというものがありました。当初作成したシステムは、アプリで記録した進捗のデータをCSVにしてBoxに保存、CSVのデータをエクセルマクロで取り込んで自動集計するというものでした。基本的にはアプリの通信は送信のみの一方通行で過去の履歴等を閲覧することができない仕様となっており、報告漏れや重複の原因になっていました。そこで、アプリの通信先としてBox以外にもkintoneを追加し、kintoneで過去の送信履歴を管理し、アプリからも取得可能な仕様に変更しました。Unifinityは追加のコストもなくいろいろなサービスと連携できるので、うまく対応できたと思います。ノーコード開発ツールに求めていたところでいくと、Unifinityは100点満点。導入後数年経過しますが、今も「Unifinityを導入して良かった」と思っています。
-お役に立てて嬉しい限りです。最後に今後の展望について教えて下さい。
冒頭申し上げた通り、すでに複数のアプリの運用に成功していますが、建設の現場ではまだまだアナログな業務が多くあるので、それらをUnifinityによってデジタル化していきたいと思っています。GPS連携による機材の位置管理やRFID連携による備品管理、カメラ連携による写真記録管理など、やりたいことはどんどん出てきている状況です。