課題 できる仕事が制限される……社外からシステムにアクセスできない不都合があった
石井:営業担当者が出先でスマホやタブレットを使って社内システムを閲覧できない、というのが大きな課題でした。社外で見込客のデータを見たくても、見ることができなかったんです。
――会社に戻って、自分のパソコンからアクセスしなければ閲覧できなかった、と。
石井:はい。そもそも見込客のデータを引っ張り出すのも、けっこうな手間がかかっていました。基幹システムでは一画面につき顧客ひとりずつのデータしか見られず、別のツールを通すなど、いくつか手順を踏んでようやく、ほしいデータを一覧で抽出できるようになります。
たとえば、Aという分譲地にいらしたお客様全員をリストで見て、お客様の希望エリアや価格、当社でのご案内状況などの全体像を把握しようと思うと、手間がかかってしまうわけです。これに対し、営業担当者からは「使いづらい」と不満の声が挙がっていました。
――欲しい情報を取り出してから、ようやく仕事が進められるのに、その手前で時間がかかると大変ですよね。営業以外の方からも、そういった意見は寄せられましたか?
石井:他部署との情報共有ができたらいいのに、という声はあがっていました。たとえば、家のリフォームをしたいと弊社にいらしたお客様が、何十年も前に弊社の建物を購入されていた、なんてこともあるわけです。もし過去の折衝履歴が残っているなら、それを閲覧できると対応の仕方が変わってきます。
――お客様が新規顧客でなく、既存顧客である可能性もあると考えると、部署間の垣根を超えて情報共有できるのが理想的ですね。
石井:用地の担当者からも同じような声があがっていました。用地の購入にはさまざまな事業部が関わっています。誰が担当しているのか、仲介業者がどこなのか、最寄り駅はどこなのか、社内での検討状況ステータスはどうなっているのかなど、関係者全員が知りたいときにすぐにアクセスできると、効率も上がりますよね。
――情報の閲覧だけでなく、「共有」といった点で、課題はありましたか?
芦川:リフォーム担当部門からはお客様との商談後、すぐに打ち合わせ内容を記録しておきたい、といった声が多く届いていました。リフォーム担当部門は一カ所に待機してお客様対応する分譲担当部門とは違い、複数のお客様先を回るのが特徴です。
――となると、お客様とのやりとりがホットなうちに、移動中などの時間を使ってスマホやタブレットで折衝記録を残せたらいいのに、という要望が寄せられるのもわかる気がします。
芦川:細かいやりとりが多いですからね。タブレットであれば、音声入力も使用できることも大きな特徴です。もうひとつ、営業からは複数の現場を管理する際、関係者がそれぞれいつどこにいるか、スケジュールも社外から閲覧できるといいよね、といった意見もあがっていました。
導入 Unifinity Platform®選定の3つの決め手
――社員の皆さんから寄せられたいろいろな要望に応えるアプリを開発すべく、Unifinity Platform®を導入されました。他にも検討されていたツールはあると思いますが、Unifinity Platform®に決定された理由を教えていただけますか。
石井:大きく3つあります。1つめは自分たちで開発できて、修正もできること。外部に開発をお願いする場合、こちらが納品物を少しでも触ると、保守契約の適用外となり、修正対応をしてもらえなくなります。それに、外部に開発や修正を依頼すると、非常に時間がかかるんですよね。開発会社と打ち合わせをして、見積もりをもらって、社内に確認して、承認を得て、ようやく発注、という流れを踏まないといけないので……。
――自分たちの手で直せるのは、Unifinity Platform®の大きな優位点なんですね。
石井:開発をスピーディーに進めていけますからね。今は私が時間を取れないので、ユニフィニティーさん経由で開発パートナー企業様へ開発をお願いしていますが、直感的な開発画面なので、使い方を覚えさえすれば、自力で作れるようになるのかなと感じています。これから何人かの社員に教えて、社内で開発の大部分を担えるようになれば、と思っています。
――その体制が整えば、社内から出た要望をより早く、落とし込めるようになりますね。
石井:2つめは地図との連携が簡単にできる機能があったこと。地番情報や登記異動情報を搭載した高機能な地図データ(提供:NTT空間情報)上に、弊社システム内の顧客情報を重ね、ピンを立てられるようにしています。
3つめはどんなOSやデバイスでも同じように表示できること。どこの企業のシステムもそうだと思いますが、WEBシステムでさえデバイスによっては同じように表示できないという課題を抱えています。でもUnifinityアプリケーションはネイティブアプリであるにもかかわらず、Unifinity Platform®がOSやデバイスの違いを吸収してくれるので、開発する側としてとても楽なんです。
効果 「情報の管理・閲覧がしやすくなり、業務効率化が進んでいる」現場、管理者共に評価する声
――ラクスル利用者、特に営業さんからはどんな声が届いていますか?
芦川:概ね好評です。今年の改修では、スマホアプリの特性を活かして、お客様情報を一覧で表示して、電話をかけられる機能を持たせたんですね。それも評価が高いです。以前はいくつものツールを活用してお客様情報を表示し、そこから電話をかけていたので、業務がだいぶ効率化できたと聞いています。情報を探す時間を短くしたい、と考えてラクスルを開発しているので、まだまだ課題はあるものの、うまくいっていると感じています。
――接客準備を時短化できると嬉しいですね。営業さん以外からの反響はありますか?
芦川:当初は営業が自ら担当したお客様の情報を入力した後、外出先で必要な情報を確認するのが主でしたが、上長などの管理者側からも、「情報を横断的に見られるようになり、部署の垣根を超えたリアルタイムの情報共有ができるようになった」という声も寄せられています。
石井:これまでは全員、日報を個別にExcel入力していたんです。それを基幹システムに入れている折衝履歴から、自動的に日報を吐き出す仕組みを作っていますが、めんどうなようでちゃんとシステムに入力していないので、自動作成した後に修正を行って、報告書という形にまとめていたんです。
上長がラクスルを使うようになり、ラクスルから情報を確認する形になれば、わざわざ報告書を作る手間がなくなる、というか。
――他の業務に時間を回したり、仕事を早く終わらせたりすることができるようになりますね。
芦川:もうひとつ、9月末に追加したばかりの機能ですが「工事完了確認書の電子化」も好評です。リフォーム工事の引き渡し後、お客様から工事完了確認書をいただきます。これまでお客様とのやりとりをするとき、紙の工事完了確認書にサインをいただいていました。この工事完了確認書を会社が受領すると売上が計上されます。しかし、営業が直行直帰する場合、売上の計上が翌日以降となります。
特に締め日である月末は、1日でも遅れると翌月の計上となるため、事務担当も経理も処理作業に追われてました。そこで、工事完了確認書をタブレットで表示し、その場でサインをいただくことで、リアルタイムで工事完了確認書が会社に届き、売上が計上されるようになりました。
――工事完了確認書の電子化の機能が知られ、しっかり使われるようになると、他の契約周りのスタイルも変わってくるかもしれませんね。
芦川:他の書類も電子に置き換わるなど、さらなる効率化が進むことも期待できます。
石井:今後数年は改良を加えていって、ラクスルの使い勝手を上げていくフェーズだと思っています。それにより会社全体の効率化、時短に貢献できれば嬉しいですね。